2018年05月13日

167.「自主」「対米追随」から見た日本の首相たち

日本の戦後史を、アメリカに対する「自主路線」と「追随路線」という観点から考察する孫崎享さん。日本の戦後の首相たちを「自主派」「対米追随派」「一部抵抗派」に分類しているあたり。まことに興味深い。

自主派
(積極的に現状を変えようと米国に働きかけた人たち)
・重光葵
石橋湛山
芦田均
岸信介
鳩山一郎
佐藤栄作
田中角栄
福田赳夫
宮沢喜一
細川護煕
鳩山由紀夫

対米追随派
(米国に従い、その信頼を得ることで国益を最大化しようとした人たち)
吉田茂
池田隼人
三木武夫
中曽根康弘
小泉純一郎
海部俊樹
小渕恵三
森喜朗
安倍晋三
麻生太郎
菅直人
野田佳彦

一部抵抗派
(特定の問題について米国からの圧力に抵抗した人たち)
鈴木善幸
竹下登
橋本龍太郎
福田康夫

おもしろいことがある。長期政権となった吉田茂、池田勇人、中曽根康弘、小泉純一郎はいずれも対米追随派である。一方、自主路線を貫こうとした首相たちは、ひとりをのぞき、短期政権に終わっている。そのひとりとは誰か? 佐藤栄作である。
(以上は孫崎享著『戦後史の正体 1945-2012』p368-369から)

ということは、首相佐藤栄作の研究こそ、日本の未来を切り開くかもしれない、ということだろうか?


posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2018年05月06日

166.アメリカの対日政策

『戦後史の正体 1945-2012』(2012)を書いた孫崎享さんは、執筆しながら3つの点を確認したという。以下、同書の「あとがき」より。

@米国の対日政策は、あくまでも米国の利益のためにある。日本の利益とつねに一致しているわけではない。

A米国の対日政策は米国の環境の変化によって大きく変わる。代表的なのは占領時代。当初、米国は日本を二度と戦争のできない国にすることを目的に、きわめて懲罰的な政策をとっていた。しかし冷戦が起こると、日本を共産主義に対する防波堤にすることを考え、優遇し始める。このとき対日政策は百八〇度変化した。そして多くの日本人は気づいていないが、米国の対日政策はいまから二〇年前、ふたたび百八〇度変化した。

B米国は自分の利益にもとづいて日本にさまざまな要求をする。それに立ち向かうのは大変なことである。しかし冷戦期のように、とにかく米国の言うことをきいていれば大丈夫だという時代はすでに二〇年前に終わっている。どんなに困難でも、日本のゆずれない国益については主張し、米国の理解を得る必要がある。
[『戦後史の正体』p366]

孫崎さん曰く。「戦後の日本外交は、米国に対する追随路線と自主路線の戦いであった」「米国からの圧力とそれへの抵抗を軸に戦後史を見ると、大きな歴史の流れが見えてくる」。

これまで米国からの圧力に抵抗を試みた政権はことごとく短命に終わっており、それを孫崎さんは本を通じて証明する。

是非ご 一読されたし。
posted by Lily at 10:34 | 政治と憲法
2018年04月29日

165. 日米関係の本当の姿

戦後の日本外交を動かしてきた最大の原動力は、米国から加えられる圧力と、それに対する「自主」路線と「追随」路線のことせめぎ合い、相克だったということです。

上記は元外務省情報局長で駐イラン大使や防衛大学教授などを務めた孫崎享さんの言である。20万部を超える大ベストセラー『戦後史の正体』(2012)の「はじめに」から引いた。ここで孫崎さんは、日本とアメリカの関係を将棋に例える。それが言い得て妙なのだ。こちらである。

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「米国は日本の同盟国として大切にしてくれている」
「いや、そうではない。米国は日本を使い捨てにしようとしているのだ」
日本では、よくそういう議論を聞くことがあります。でも、どちらも事実ではありません。正しくは、
「米国との関係は、そのときの状況によって変化する」ということなのです。

将棋の盤面を考えていただければよいと思います。米国は王将です。この王将を守り、相手の王将をとるためにすべての戦略が立てられます。米国にとって、日本は「歩」かも知れません。「桂馬」かもし知れません。「銀」かも知れません。ときには「飛車」だといってちやほやしてくれるかもしれません。それは状況によって変わるのです。

しかしたとえどんなコマであっても、国際政治というゲームのなかで、米国という王将を守り、相手の王将をとるために利用されることに変わりありません。状況しだいでは見捨てられることもあります。王手飛車取りをかけられて、飛車を逃す棋士はいないでしょう。一瞬のためらいもなく、飛車を見殺しにする。当たり前の話なのです。

対戦相手の王将も、ときにソ連、ときにアルカイダ、ときに中国やイランと、さまざまに変化します。それによって、日本も「歩」になったり、「桂馬」になったり、「銀」になったりと、役割が変わるのです。

日本のみなさんは、戦後の日米関係においては強固な同盟関係がずっと維持されてきたと思っているでしょう。そして日本はつねに米国から利益を得てきたと。とんでもありません。米国の世界戦略の変化によって、日米関係はつねに大きく揺らいでいるのです。

[孫崎享『戦後史の正体 1945-2012』(2012)pp. D- F]
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アメリカはいつだってアメリカファースト。トランプ氏は正直だ。
posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法

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