2018年11月04日

192. 「『米軍駐留は憲法違反』と明言した伊達判決」[吉田敏弘著『検証・法治国家崩壊』より]

憲法第九条は「戦力の不保持」を謳っている。しかし日本国内に米軍基地がある。おかしいじゃないか! 米軍は紛れもなく戦力じゃないか! あってはならないはずの「戦力」が、日本国内にあるじゃないか!
その通りである。実際、東京地裁は米軍駐留について「憲法違反」の判決を出している。「伊達判決」といわれる名判決である。以下、吉田敏弘著『検証・法治国家崩壊』pp.22-24より。

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1957年、東京都砂川町(現立川市)にある米軍基地内に、数メートル入ったデモの参加者二三人が逮捕され、そのうち七人が起訴されるという「砂川事件」が起こりました。
 その裁判を担当した東京地裁刑事第十三部(裁判長伊達秋雄、裁判官清水春三、裁判官松本一郎)は、判決のなかで「米軍駐留は憲法第九条違反」という前例のない判断を示しました。その判決の要点は、以下のとおりです。

@憲法第九条は、日本が戦争をする権利も、戦力をもつことも禁じている。
一方、日米安保条約では、日本に駐留する米軍は、日本防衛のためだけでなく、極東における平和と安全の維持のため、戦略上必要と判断したら日本国外にも出動できるとしている。その場合、日本が提供した基地は米軍の軍事行動のために使用される。その結果、日本が直接関係のない武力紛争にまきこまれ、戦争の被害が日本におよぶおそれもある。
 したがって、安保条約によりこのような危険をもたらす可能性をもつ米軍駐留を許した日本政府の行為は、『政府の行為によってふたたび戦争の惨禍が起きないようにすることを決意』した日本国憲法の精神に反するのではないか。

 Aそうした危険性をもつ米軍の駐留は、日本政府が要請し、それをアメリカ政府が承諾した結果であり、つまり日本政府の行為によるものだといえる。米軍の駐留は、日本政府の要請と、基地の提供と費用の分担などの協力があるからこそ可能なのである。
 この点を考えると、米軍の駐留を許していることは、指揮権の有無、米軍の出動義務の有無にかかわらず、憲法第九条第二項で禁止されている戦力の保持に該当するものといわざるをえない。結局、日本に駐留する米軍は憲法上その存在を許すべきではないといえる。

 B刑事特別法は、正当な理由のない基地内への立ち入りに対し、一年以下の懲役または二〇〇〇円以下の罰金もしくは科料を課している。それは軽犯罪法の規定よりもとくに重い。しかし、米軍の日本駐留が憲法第九条第二項に違反している以上、国民に対し軽犯罪法の規定よりもとくに重い刑罰をあたえる刑事特別法の規定は、どんな人でも適正な手続きによらなければ刑罰を科せられないとする憲法第三一条〔適正手続きの保障〕に違反しており、無効だ。したがって、全員無罪である」

 判決当日の新聞各紙勇敢の一面には、「米軍駐留は憲法違反、砂川基地立ち入り、全員に無罪判決」などの大きな見出しが、かかげられました。この画期的な判決はのちに、伊達秋雄裁判長の名前をとって、「伊達判決」と呼ばれるようになります。
posted by Lily at 17:55 | 政治と憲法