2018年10月21日

190. 米軍駐留を正当化する「ハワード理論」

第二次大戦の終結から4年後、アメリカは日本の占領政策を大きく転換し、日本に軍事力をもたせて、それをみずからの指揮のもとで使いたいと考えるようになりました。アジアの民族運動をふせぐために米軍が出動するときは、日本の軍事力を利用したいというのがアメリカの本音でした。

けれども日本には、できたばかりの平和憲法があります。その矛盾をいったい、どうやって正当化すればいいのか。アメリカ政府内では1949年から、すでにそのための話しあいが始まっていました。

アメリカがもっとも重視したのは、米軍駐留の正当化をはかることでした。そのためにハワード国務長官特別補佐官は苦心して、米軍駐留がなぜ日本の憲法に違反しないかという「理論」を考え出します。その理論とは、「禁止しているのは日本の戦力であって、外国の戦力はいいのだ」というものです。

しかし、憲法9条2項はどのように読んでも、日本は戦力をもたないと定めています。ハワードの理屈は、とうてい通用するものではありません。

ところが日本では、このハワードの「理論」をそのまま採用する形で、最高裁判所が1959年12月16日に「米軍駐留は憲法違反ではない」とする判決(「砂川裁判・最高裁判決」)を出しているのです。その判決の理由は、憲法が「保持しない」と定めている軍隊には外国軍隊は含まれないというものでした。

もちろん憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と、あらゆる戦力がダメだと書かれています。「外国軍隊を除く」とは書かれていません。

[末浪靖司著『「日米指揮権密約」の研究』(2017)創元社より]

posted by Lily at 18:41 | 政治と憲法