2018年02月11日

154.恩恵

例えば酸素。吸うたび意識している人は稀だろう。でも酸素なしでは生きてはゆけぬ。なくなってからでは遅いのだ。窒息しかけでもしたら気づくだろうか。

われらが憲法。恩恵にどれほど浴してきたことか。一生を支える憲法を今一度ふりかえる。

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新しい命が誕生。出生届を出すと、親の社会的立場や財産で差別されることなく健康診断や予防接種の案内が送られてくる。人は生まれながらにして基本的人権を持ち(憲法一一条)、個人として尊重され、幸福を追求する権利が認められている(一三条)のだ。

六歳になると、みんなが小学一年生に。子どもには教育を受ける権利、保護者には受けさせる義務があり、国も無償で義務教育を提供する(二六条)。

高校や大学に進み、好きな科目や専攻を選べるのは学問の自由(二三条)が保障されているから。これがないと、国や教師が決めた分野を学ぶことになりかねない。教師に違う意見をぶつけられるのも、思想及び良心の自由(一九条)があるためだ。サークル活動で自由な創作活動や発表ができるのは、表現の自由(二一条)があるおかげだ。

社会人になり、才能を生かした仕事に就いたり、住みたい街に引っ越したりできるのは居住・移転及び職業選択の自由(二二条)があるから。成年者で意中の人が見つかれば、親の同意なしでも二人の合意だけで結婚できる(二四条)。

妊娠、出産をした場合、産休・育休を取得できるのは勤労条件の基準(二七条)について定めがあるから。この条文は働き続ける限り、過酷な労働からの防波堤の役割を果たす。

人生に思わぬ壁が立ちはだかった時、憲法が救いの手を差し伸べることも。

実例がある。暴力を振るわれた夫と離婚し、新たな相手と出会ったものの、女性のみ再婚を六カ月間禁じた民法の規定のために苦しんだとして岡山県の女性が訴訟を起こした。最高裁は二〇一五年十二月、百日を超える部分の禁止期間は憲法一四条(法の下の平等)、二四条(両性の平等)違反との判決を下した。政府は再婚禁止期間を百日間とする民法改正案を今国会に提出した。

一三年九月には、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定は憲法一四条違反とした和歌山県の婚外子女性の訴えを最高裁が認めた。同年、改正民法が成立。これらを含め最高裁は戦後十件の法律の規定を違憲としている。

憲法は災害や病気、加齢で働けなくなり困窮した場合でも、文化的な最低限度の生活を営めるよう、生存権と国の社会的使命(二五条)を明記している。生活保護の受給も施しではなく、権利なのだ。
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なるほどね。憲法というものは、かくもありがたきものなのか、と思えてくる。が、憲法の恩恵にずっと浴していられるか、というと、そうではない。われわれ国民の「不断の努力」が要るのである。その条文が第12条のこの箇所だ。

第十二条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。

見ての通り「〜ねばならない」と書かれている。要するに「不断の努力」は義務である。「われらとわれらの子孫」に対する義務なのだ。

※引用参考データ:2016/5/4 東京新聞【いま読む日本国憲法】
(特別編)条文 一生寄り添う 自由、人権…救いの手にも


 
posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法