2017年08月20日

129.「米国の事情と憲法9条」について

ノルウェーの平和学者で「平和学の父」の名で知られるヨハン・ガルトゥングさん。「積極的平和」という概念の提唱者としても有名なお人です。ちなみに「積極的平和」とは、単に戦争がない状態(これを「消極的平和」と呼びます)ではなく、基本的人権が尊重され、福祉が保障されている状態のことです。念のため。

ガルトゥングさんは、何度か日本にいらしていまして、今年6月に来日された時には、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」について、「(国民が)国家、政権への批判をしにくくなる法律だ」とおっしゃいました。

さて、そのガルトゥングさん。『日本人のための平和論』という本をお書きになっていまして、その中の一節をご紹介したいと思います。

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過去のどこかの時点で、米国は、日本が思い通りに動いてくれないのは憲法9条が邪魔をしているからだと気づき、取り除こうと思い立った。憲法9条がなくなれば、自分たちが行う他国への軍事介入に日本を参加させられるようになるからだ。
(『日本人のための平和論』p.14)

戦争は悪である ーー このことに意義を唱えるものはいない。しかし、ここにきて正反対のメッセージが日本の政治リーダーから発せられている。曰く、戦わなくてはならない戦争もある。曰く、友軍米国と力は合わせて戦うことは大義に適う。
(同著 p.15)

そこには、日本は米国に強いられて戦地に赴くのではない。対等な土俵の上に立って行動するのだ、というメッセージが潜んでいる。米国政府が書き、広く日本人に伝えるようにと自民党にことづけたメッセージである。
(同著 p.15)

結局、戦後70年以上経った現在でも、日本の政治は米国の意向で動いている。日本の政治家たちは、六本木ヘリポートに降り立つ米国の軍や政府の関係者の顔色をうかがい、ワシントンの意向を忖度(そんたく)しながら政治を行っている。日本以外の主要国で、他国の軍人や外交官がこれほど簡単に首都中枢に出入りすることを許している国は世界広しといえども他には存在しない。この光景は、今も日本が米国の占領下にあることを象徴している。
(同著 p.15-16)
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なるほどね。ガルトゥングさんによれば、日本は今でも「アメリカの占領下」にあるということで、だとすれば、「日本は決してアメリカにノーと言えない」「日本はアメリカの言うなり」なのもうなずけます。安全性が確認できるまでオスプレイを飛ばさないで下さい、と日本政府が一生懸命頼んでも聞き入れてくれなかったりするのは、やっぱ、占領下に置かれていて立場が弱いからなのでしょう。

2015年9月19日に成立した「安全保障関連法」。あれは、集団的自衛権の行使を容認する法ですから、いってみれば憲法9条を骨抜きにする法ですよね。「日本が思い通りに動いてくれないのは憲法9条が邪魔をしているからだ。憲法9条がなくなれば、自分たちが行う他国への軍事介入に日本は参加させられるようになる」と考えていたアメリカは、この法の成立をそれはそれは喜んだことだろう。と、今、あらためて感じます。

※引用参考データ:
ヨハン・ガルトゥング著『日本人のための平和論』(2017)ダイヤモンド社、
6/15 AFPBB News、
デジタル大辞林


posted by Lily at 19:04 | 政治と憲法