2017年06月04日

118.「表現の自由」に国連特別報告者が懸念

昨年2016年の4月。日本の「表現の自由」について調査するため、国連のデイビット・ケイ氏が来日しました。ケイ氏は「意見及び表現の自由」の調査を担当する国連特別報告者です。国連は、その際の報告書を2017年5月30日公表しました。この報告書では、日本政府に対し、メディアの独立性保護と国民の知る権利促進のための対策を緊急に講じるよう要請しています。(例えば「特定秘密保護法」についてはジャーナリストに萎縮効果を与えることのないよう改正を促し、また、メディア規制については政治的公平性を規定する放送法第4条の撤廃を勧告、など)。ケイ氏は、来たる6月12日の国連人権理事会でこの報告書を提出する予定です。以下に、この報告書からピックアップします。

・日本は、報道の自由を明確に保護した憲法に、当然の誇りを持っている。にもかかわらず、報道の独立性は重大な脅威に直面している。

・脆弱な法的保護、新たに採択された『特定秘密保護法』、そして政府による『中立性』と『公平性』への絶え間ない圧力が、高いレベルの自己検閲を生み出しているように見える。こうした圧力は意図した効果をもたらす。それはメディア自体が、記者クラブ制度の排他性に依存し、独立の基本原則を擁護するはずの幅広い職業的な組合組織を欠いているからである。

・多くのジャーナリストが、自身の生活を守るために匿名を条件に私との面会に応じてくれたが、国民的関心事の扱いの微妙な部分を避けなければならない圧力の存在を浮かび上がらせた。彼らの多くが、有力政治家からの間接的な圧力によって、仕事から外され、沈黙を強いられたと訴えている。これほどの強固な民主主義の基盤のある国では、そのような介入には抵抗して介入を防ぐべきである。

・1950年に制定され政府に放送メディアを規制する直接的な権限を与えた『放送法』は、4条において、ジャーナリストの職業的義務と、放送免許の取り消しを行う政府権限を混同している。政府は放送法4条を廃止し、メディア規制から手を引くべきである。

・「特定秘密保護法」は、実施の初期段階ながら、重大な社会的関心事のメディア報道を委縮させる効果を生んでいる。例えば、内部告発者を保護する体制が弱いことは、情報源の枯渇につながり、ジャーナリスト自身も情報入手によって処罰されることを恐れるようになるだろう。こうした恐れを持つことで、特に影響を受ける可能性があるのは、原子力産業の未来、災害対応、政府の国家安全保障政策など、日本の今日的な公共の関心事についての報道だ。

・政府による圧力はさらに、第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」問題など、非常に重要性の高い問題の議論も妨げている。従軍慰安婦への言及は、中学校で必修科目である日本史の教科書から削除されつつある。第二次世界大戦中に犯した罪の現実を教科書でどう扱うかについて政府が介入することは、国民の知る権利を脅かし、国民が日本の過去の問題に取り組み理解する力を低下させる。

・ヘイトスピーチに関して日本は、広範囲に適用できる差別禁止法を採択しなければならない。まず、差別行為を禁止する法律を制定し、そうした法律が整えば、憎しみに満ちた表現に対する政府の広範な対応が、憎悪に反対する教育的かつ公の声明などの形で、差別との闘いに真の影響をもたらすようになるだろう。

※引用参考データ:
2017/5/31時事ドットコムニュース、
2016/4/19国際連合広報センター
「日本:国連の人権専門家、報道の独立性に対する重大な脅威を警告」

posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法