2017年03月19日

107.憲法制定の目的(1)

 現行憲法と自民党改憲草案の前文を読み比べたことのある人はお気づきだと思いますが、現行憲法と自民党改憲草案とでは、憲法制定の目的が違うんですね。ここで改めて、そのことを確認しておきたいと思います。

 以下は、現行憲法の前文。下線部が憲法制定の目的が書かれている箇所です。

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 はい。現行憲法では、「憲法は誰のためにあるか?」といえば「われらとわれらの子孫のため」です。「憲法は何のためにあるのか?」といえば「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」するためです。この部分、つまり「戦争が政府の行為によって起こされた」ことを認めるこの部分は、極めて重要だと考えられます。なぜなら、今の憲法には「戦争なんてもう二度といやだ!」という国民の強い気持ちが込められていて、だからこそ、政府の戦争責任を明らかにするこの文言は、極めて重要なのです。削るなんてとんでもない! のですが、ところがところが . . . .。



posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法