2017年03月12日

106.戦争は政府の行為によって

「政府の行為によつて再び戦争の惨禍(さんか)が起ることのないやうにすることを決意し」。憲法前文にあるフレーズです。そしてこれこそ憲法制定の目的です。

この「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」が憲法の「前文」に入っていることの意味はとても大きいと思っています。なぜならこれは、「戦争は政府の行為によって起こった」ということをはっきり認めているフレーズだからです。「あの戦争は政府の行為がもたらした」ということを、前文で「確認」していると考えられのです。(「惨禍」という言葉はなじみのない言葉かも知れませんね。意味は「むごたらしくいたましい災難」です)。

ところがです。自民党の改憲草案前文を見ると、この、政府の戦争責任を認めるフレーズが消えてなくなっているのです。なぜなのでしょう? 疑問に思うところです。

それでは自民党の改憲草案前文は、先の戦争に全く触れていないのか? というと、そうでもなく、戦争に言及している箇所はあるにはあります。その部分を取り出してみましょう。

我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。

上記の下線部の「先の大戦」がそうです。でもその後の「荒廃」を補足説明しているだけですね。政府の戦争責任には全く触れていません。この「先の大戦による荒廃」は、これに続く「幾多の大災害」とともに、「わが日本がどんなにすごい国であるか」を効果的に言うために、つまり日本の「すばらしさ」を強調するために持ち出された、という感じがするのです。

自民党の改憲草案前文から政府の戦争責任を認める文言が消えているこの事実。あなたはどう受け止めますか?

※参考データ:青井未帆『憲法守るのは誰か』( 2013)幻冬舎ルネッサンス新書
posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法