2018年05月27日

169.ポツダム宣言の現代語訳


2015年5月20日。安倍晋三首相はポツダム宣言を「つまびらかに読んだことがない」と発言したことは筆者の記憶に新しい。念のため、その時の模様がこちら(↓)。

5月20日に行われた党首討論で、共産党の志位和夫委員長は安倍晋三首相に、ポツダム宣言に関する認識を質問した。

志位氏は「過去に日本が行った戦争は、間違ったものという認識はあるか。70年前に日本はポツダム宣言を受け入れた。ポツダム宣言では、日本が行ったのは間違った戦争だったと明確に記している。総理はこの認識を認めないのか」と聞いた。これに対し、安倍首相は「ポツダム宣言は、つまびらかに読んではいないが、日本はポツダム宣言を受け入れ、戦争が終結した」と述べた。
(2015年05月20日 HUFFPOST)


われ思う。安倍首相でなくとも日本人のほとんどが、つまびらかに読んじゃいないだろう。しかし、日本の戦後はここから始まっていると言っていい。だから、ポツダム宣言知らずして、戦後を正しく理解しようとしても無理がある。だから、ちゃんと知っておいた方がよかろうと思う。幸い現代語訳というものがある。複数見た中で、わかりやすそうなもの(同じく2015年05月20日 HUFFPOST)を選んでみた。これだ(↓)。

ポツダム宣言

1 我々、アメリカ合衆国大統領、中華民国主席とイギリス首相は、我々の数億の国民を代表して協議した結果、この戦争終結の機会を日本に与えることで意見が一致した。

2 アメリカ、イギリス、そして中国の陸海空軍は、何度も陸軍、航空編隊の増強を受けて巨大になっており、日本に対して最後の一撃を加える体制が整っている。この軍事力は、日本が抵抗をやめるまで同盟国によって維持できるものだ。

3 世界中の自由な人々は立ち上がった。それに対してドイツが採った無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本の人々に対しても極めて明快な例として示されている。現在日本に向かって集中しつつある力は、ナチスの抵抗に対して用いられた力―全ドイツ民の生活、産業、国土を荒廃させるのに必要だった力―に比べると、測り知れないほど大きいものだ。決意をもって、我々の軍事力全てを投入すれば、日本軍は壊滅し、また、日本の国土は焦土と化すだろう。

4 日本が決断する時は来ている。知力を欠いた身勝手な軍国主義者によって制御され続け、滅亡の淵に至るのか。それとも、理性の道を選ぶのか。

5 我々の条件は以下の通り。条件からの逸脱はないものとする。代替条件はない。遅延も一切認めない。

6 日本の人々をだまし、間違った方向に導き、世界征服に誘った影響勢力や権威・権力は、排除されなければならない。無責任な軍国主義が世界からなくなるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能である。

7 そのような新秩序が確立されるまで、また日本の戦争遂行能力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点は、連合国軍がこれを占領するものとする。基本的目的の達成を担保するためである。


8 カイロ宣言の条項は履行されるべきものとし、また、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする。


9 日本の軍隊は、完全に武装解除されてから帰還を許し、平和で生産的な生活を営む機会を与えることとする。

10 我々は、日本を人種差別し、奴隷化するつもりもなければ国を絶滅させるつもりもない。しかし、われわれの捕虜を虐待した者を含めて、全ての戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を行うものとする。日本政府は、日本の人々の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって、障害となるものは排除する。言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重が確立されなければならない。

11 日本は産業の維持を許される。そして経済を持続し、正当な戦争賠償の取り立てに充当する。しかし、戦争を目的とする軍備拡張のためのものではない。この目的のため、原材料の入手はこれを許される。ただし、入手と支配とは区別する。世界貿易取引関係への日本の事実上の参加を許すものとする。

12 連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯び、かつ責任ある政府が樹立される限りにおいて、直ちに日本より撤退するものとする。

13 我々は日本政府に対し日本軍の無条件降伏の宣言を要求する。かつ、誠意を持って実行されるよう、適切かつ十二分な保証を求める。もし拒否すれば、日本は即座にかつ徹底して撃滅される。


われ思う。なんというか、かなり屈辱的である。だが、このポツダム宣言を受諾した時から本当の戦後が始まった。つまり、戦後のはじまりは1945年9月2日ということだ。
posted by Lily at 11:29 | 政治と憲法
2018年05月20日

168.アメリカとの関係

四〇年近くを外交官として過ごしてこられた孫崎享さんは、『戦後史の正体』を書いたことにより、三つの点を確認したという。その三つの点。是非、確認されたし。以下、『戦後史の正体 1945-2012』(2012)p.366より。

@米国の対日政策は、あくまでも米国の利益のためにあります。日本の利益とつねに一致しているわけではありません。

A米国の対日政策は、米国の環境の変化によって大きく変わります。代表的なのは占領時代です。当初、米国は日本を二度と戦争のできない国にすることを目的に、きわめて懲罰的な政策をとっていました。しかし冷戦が起こると、日本を共産主義に対する防波堤にすることを考え、優遇し始めます。このとき対日政策は一百八〇度変化しました。そして多くの日本人は気づいていませんが、米国の対日政策は今から二〇年前、ふたたび一八〇度変化したのです。

B米国は自分の利益にもとづいて日本にさまざまな要求をします。それに立ち向かうのは大変なことです。しかし冷戦期のように、とにかく米国のいうことを聞いていれば大丈夫だという時代はすでに二〇年前に終わっています。どんなに困難でも、日本のゆずれない国益については主張し、米国の理解を得る必要があります。


さて。平成29年11月6日の首相官邸ホームページによると、わが国の安倍総理は、日米共同記者会見の中でこのように述べているが、

「2日間にわたる話合いを通じ、改めて、日米が100%共にあることを力強く確認しました」

この「日米は100%共にある」という発言を、筆者は幾度となく耳にしている。もしも孫崎氏が言われるように「米国の対日政策は、あくまでも米国の利益のためにある」のだとしたら、「日米は100%共にある」という姿勢は、必ずしもわれわれ国民にとっての幸福をもたらすものとは言えまい。

筆者は常々思っている。トランプ大統領という人は、アメリカという国の最も素直な姿を表しているのかもしれない、と。

posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2018年05月13日

167.「自主」「対米追随」から見た日本の首相たち

日本の戦後史を、アメリカに対する「自主路線」と「追随路線」という観点から考察する孫崎享さん。日本の戦後の首相たちを「自主派」「対米追随派」「一部抵抗派」に分類しているあたり。まことに興味深い。

自主派
(積極的に現状を変えようと米国に働きかけた人たち)
・重光葵
石橋湛山
芦田均
岸信介
鳩山一郎
佐藤栄作
田中角栄
福田赳夫
宮沢喜一
細川護煕
鳩山由紀夫

対米追随派
(米国に従い、その信頼を得ることで国益を最大化しようとした人たち)
吉田茂
池田隼人
三木武夫
中曽根康弘
小泉純一郎
海部俊樹
小渕恵三
森喜朗
安倍晋三
麻生太郎
菅直人
野田佳彦

一部抵抗派
(特定の問題について米国からの圧力に抵抗した人たち)
鈴木善幸
竹下登
橋本龍太郎
福田康夫

おもしろいことがある。長期政権となった吉田茂、池田勇人、中曽根康弘、小泉純一郎はいずれも対米追随派である。一方、自主路線を貫こうとした首相たちは、ひとりをのぞき、短期政権に終わっている。そのひとりとは誰か? 佐藤栄作である。
(以上は孫崎享著『戦後史の正体 1945-2012』p368-369から)

ということは、首相佐藤栄作の研究こそ、日本の未来を切り開くかもしれない、ということだろうか?


posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2018年05月06日

166.アメリカの対日政策

『戦後史の正体 1945-2012』(2012)を書いた孫崎享さんは、執筆しながら3つの点を確認したという。以下、同書の「あとがき」より。

@米国の対日政策は、あくまでも米国の利益のためにある。日本の利益とつねに一致しているわけではない。

A米国の対日政策は米国の環境の変化によって大きく変わる。代表的なのは占領時代。当初、米国は日本を二度と戦争のできない国にすることを目的に、きわめて懲罰的な政策をとっていた。しかし冷戦が起こると、日本を共産主義に対する防波堤にすることを考え、優遇し始める。このとき対日政策は百八〇度変化した。そして多くの日本人は気づいていないが、米国の対日政策はいまから二〇年前、ふたたび百八〇度変化した。

B米国は自分の利益にもとづいて日本にさまざまな要求をする。それに立ち向かうのは大変なことである。しかし冷戦期のように、とにかく米国の言うことをきいていれば大丈夫だという時代はすでに二〇年前に終わっている。どんなに困難でも、日本のゆずれない国益については主張し、米国の理解を得る必要がある。
[『戦後史の正体』p366]

孫崎さん曰く。「戦後の日本外交は、米国に対する追随路線と自主路線の戦いであった」「米国からの圧力とそれへの抵抗を軸に戦後史を見ると、大きな歴史の流れが見えてくる」。

これまで米国からの圧力に抵抗を試みた政権はことごとく短命に終わっており、それを孫崎さんは本を通じて証明する。

是非ご 一読されたし。
posted by Lily at 10:34 | 政治と憲法