2017年11月26日

143.反軍国主義のシンボル

終戦当時、日本は世界中から「軍国主義国」だとみなされていました。でも、今ではどうでしょう? おそらく今の日本を軍国主義だという人はいない、どころか日本は「平和国家」としての一定の評価を得ています。軍国主義国日本をここまで変えたものは何だったのか。以下に歴史家ジョン・ダワー氏の言を引かせていただきます(『映画日本国憲法読本』pp.76-77)。

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軍人の多くは思い知っているのですよ。戦争は恐ろしいものであり、あってはならないものだと知っているのです。それに加えて、マッカーサーは当時の日本が置かれた状況もよく理解していました。日本政府もやがて理解するようになったわけですが、当時は世界中が日本に罵詈雑言を浴びせていました。日本が始めた戦争がどれほど無茶なものであったか、そして日本が世界からどれほど信頼されていなかったかを忘れてはいけません。

真珠湾攻撃のせいではありません。中国やアジア諸国に対する戦争のせいです。日本はアジアを破壊し尽くしました。戦時中に殺された中国人の数はわかっていません。たぶん数えられるだけでも1500万人は殺されたはずです。中国側はもっと多いと言っています。いまでは誰もインドネシアでの出来事を口にしませんが、インドネシアでも何百万人が殺されました。フィリピンも大きな被害を受けました。そして真珠湾攻撃後は多くのアメリカ兵やアメリカ人捕虜も殺されました。

だから世界中が日本に対して不信感を抱いていたのです。世界中が日本を本質的な軍国主義国だとみなしていました。しかしマッカーサーは「そうした認識をくつがえすことは可能だ」と考えました。日本は軍国主義や侵略、抑圧のシンボルではなく、反軍国主義のシンボルになることができる。それを法制化すればいい。人権の尊重や主権在民を盛り込もう。すべてを一つのパッケージにしてしまおう。そうすれば世界から尊敬を受ける国に生まれ変わることができる――。
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実際、マッカーサー氏が考えていたような「世界から尊敬を受ける国」に、わが国日本がたどり着くことができたのかどうか。そこは定かではありませんが、少なくとも改憲論議に際しては、マッカーサー氏のいう「法制化」が果たしてきた役割を踏まえておく必要があるのではないでしょうか。


引用・参考文献:
『映画日本国憲法読本』(2013第2刷)有限会社フォイル
posted by Lily at 16:25 | 政治と憲法
2017年11月19日

142.「9条は謝罪」という見方

アジア政治学者のチャルマーズ・ジョンソン氏いわく。

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日本は第二次世界大戦中の侵略行為に関して謝罪しなかったとして、いまだに批判されています。少なくとも日本は戦後にドイツが行ったような謝罪を行っていません。私が初めて来日したのは1953年、この問題がまだ熱く議論されている頃でした。そのときから感じていることですが、日本は謝罪したのです。憲法第9条こそが謝罪だったのです。東アジア諸国へ向けられた宣言だったのです。

「今後、あなた方が、1930年代から40年代に起こったような日本の軍事行為の再発を恐れる必要はありません。なぜなら、日本は公式に、そして法的にも、武力行使を放棄したからです。自衛の最終段階における行使を除いて」。

憲法第9条を破棄することは、謝罪を破棄することにほかなりません。そうなれば、中国でも東南アジアの華僑(かきょう)社会でも、朝鮮半島でも、「日本はほんとうに謝罪したのか、戦争犯罪の重さをほんとうに理解する気があるのか」という問題が再燃するでしょう。
(『映画日本国憲法読本』pp.29-30)
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先の衆院選で自民党が公約に掲げた改憲項目はこの4点でした。
・自衛隊の明記(憲法9条)
・教育の無償化・充実強化(憲法26条)
・緊急事態対応(自民党改憲草案98,99条)
・参院の合区解消(憲法47条)

大勝により改憲議席衆院選3分の2 を手に入れた自民党をはじめとする改憲派は、いよいよ改憲に向けた動きを加速しています。国民投票の日は意外に近いのかもしれません。

憲法は私たち国民のもの。為政者のものではありません。憲法を変えるべきか変えずにおくべきか、決めるのは私たち国民です。為政者の言葉に引っ張られることなく、私たち自身の目で憲法の真実を見ておく必要性をことさら感じるこの頃です。

引用・参考文献:
『映画日本国憲法読本』(2013第2刷)有限会社フォイル
posted by Lily at 10:10 | 政治と憲法
2017年11月12日

141.米軍基地から入国した大統領

11月5日から7日にかけて来日された米トランプ大統領ですが、戦後のアメリカ大統領の中で、在日米軍基地から入国した大統領はトラン氏がはじめてだといいます。これはいったい何を意味するのでしょうか? 天木直人氏のブログ一部を引用させていただきます。

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戦後の米国の現職大統領の中で、はじめて日本に来日した大統領は誰か。

それは1974年に来日したフォード大統領であることを知っている国民は少ないだろう。

それ以前の大統領は、ニクソンも、ジョンソンも、あのケネディも来日していないのだ。

アイゼンハワーは安保反対で来ることが出来なかったし、占領下のトルーマンやルーズベルトが来日するはずはなかった。

そして、フォードの来日以来、今度のトランプに至るまで、すべての現職大統領が来日している。

しかし、日本に来日した米国現職大統領の中で、羽田空港ではなく在日米軍基地である横田基地から入国したのは、今度のトランプ大統領がはじめてである。

このことが、いかに異常で、日本の主権を侵害したものであるか。

 (中略)

日米安保条約と、その具体的取り決めである日米地位協定が治外法権的な不平等条約である事は、日本の外務省も米国の国務省も知っている。だからこそ、これまでの現職米国大統領の来日に際しては、日米外交当局はことさら配慮して、横田基地ではなく羽田空港に降り立つことに気を使って来た。

ところが、トランプと安倍首相の間には、その配慮がなかったということだ。

日本占領を当たり前のように考えている米国軍幹部とそれに従うトランプが、日本の国民感情を逆なでする誤りをおかそうとしたのに対して、トランプの機嫌を損ねたくなかった安倍首相が、その誤りを容認し、日本の主権侵害を公然と認める愚を犯した結果、はじめて現職米大統領が横田基地に降り立ち、そのままゴルフ場に直行するという前代未聞の事が起きたのだ。
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この前代未聞の出来事をわれわれ国民はどう受け止めたらいいのでしょう?

※引用データ:2017/11/08天木直人のブログ「米国大統領をはじめて横田基地から入国させた安倍首相」

posted by Lily at 15:05 | 政治と憲法
2017年11月05日

140.知憲→論憲→改憲




11月1日の『モーニングCROSS』(TOKYO MX)という番組で、憲法アイドルの内山奈月さんがこういう話をしていました。

「改憲」の前に「論憲」
「論憲」の前に「知憲」
憲法を変える前に、憲法を論じる必要がある。
そして憲法を論じるためには、憲法を知る必要がある。

さもありなん。というわけで、ご紹介したい本があります。国家権力を「ライオン」にたとえ、憲法を「檻(おり)」にたとえ、憲法についてわかりやすく解説しているその本の名は

『檻の中のライオン』(楾大樹(はんどう・たいき)著、かもがわ出版)1300円+税

で、今回は、この本の「はじめに」から一部を紹介いたします。

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憲法について考え、議論するには、まず「憲法とは何か」を知るところから始めなければなりません。

主権者は国民です。憲法は国民のものです。広く国民が憲法を知り、憲法を使いこなさないといけません。

「憲法を知る」といっても、条文を丸暗記するだけでは、現実に起きる様々な憲法問題を自分で考えてみることは難しいでしょう。

単に「憲法の条文はこうなっている」というところから、もう一歩踏み込んで、「なぜそうなっているのか」、理由を考えてみることがとても大切です。

憲法問題と政治問題は、次元の異なる問題です。相撲で言うと、憲法は「土俵」にあたるものです。「右」の力士と「左」の力士が相撲取って、どちらが勝つか、これは政治問題。どちらの力士を応援するかは、人それぞれ自由です。

しかし、力士は、決められた土俵の上で(憲法と言う枠の中で)相撲をとらなければなりません。いくら最強かつ大人気の横綱でも、土俵の形を勝手に変えることはできませんし、行司の裁きには従わなければなりません。
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この本は小学5〜6年生がじゅうぶん理解できる内容です。また、大人がてっとり早く憲法の基本をつかむのにも大いに役立つかと存じます。

posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法