2017年10月29日

139.今回の衆院選に対する市民連合の見解

10月22日の解散総選挙について、市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)が翌10月23日付で見解を発表しています。今回の結果が「民意からの乖離」であること、与党の勝因が小選挙区制度や野党の分裂にあること、改憲についての今後の見通しなどが的確に述べられていますので、以下に引用いたします。

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【第48回衆議院議員選挙に関する見解】
 10月22日に投票が行われた第48回衆議院議員選挙において、自民党・公明党の与党が3分の2の議席を確保する結果となりました。市民連合は、安倍政権がこの多数基盤の上に、憲法の基本精神を破壊する方向でその改定を具体化することを強く危惧します。
 選挙戦の中で行われたいくつかの世論調査では、内閣支持率が低下し、不支持率を下回るものもありました。その意味で、国民は安倍政権を決して信頼したり、評価したりしているわけではないことは明白です。投票率も戦後最低レベルに留まってしまいました*。与党の巨大な議席は、勝者にボーナスを与える小選挙区制度がもたらした、民意からの乖離といわなければなりません。
 野党側では、民進党が分裂したことが与党の大勝を招いたことも事実です。総選挙における立憲勢力の前進のために市民と野党の協力体制の準備を進めていたことを無視し、前原誠司代表が希望の党への合流を強引に推し進め、民進党を分裂させ、野党協力の態勢を壊したことは、強く批判されるべきだと考えます。
 しかし、立憲民主党が選挙直前に発足し、野党協力の態勢を再構築し、安倍政治を憂える市民にとっての選択肢となったことで野党第一党となり、立憲主義を守る一応の拠点ができたことは一定の成果と言えるでしょう。この結果については、自党の利益を超えて大局的視野から野党協力を進めた日本共産党の努力を高く評価したいと考えます。社会民主党も野党協力の要としての役割を果たしました。
 そして何よりも、立憲野党の前進を実現するために奮闘してきた全国の市民の皆さんのエネルギーなくして、このような結果はあり得ませんでした。昨夏の参議院選挙につづいて、困難な状況のなかで立憲民主主義を守るための野党共闘の構築に粘り強く取り組んだ市民の皆さんに心からエールを送ります。
 与党大勝という結果は残念ではありますが、安倍政治に対抗すべき市民と野党の共闘のあるべき姿がこの選挙戦を通じて明確になったことには意味があると思われます。違憲の安保法制を前提とした憲法9条改悪への反対と立憲主義の回復などを共通の土台とした今回の市民と野党の共闘の成果を踏まえ、立憲野党が、無所属、その他の心ある政治家とともに、強力な対抗勢力を再構築することを心より期待し、市民連合もできるかぎりの応援をしたいと考えます。
 衆議院で与党が3分の2を確保したことにより、安倍政権・自民党は近い将来、憲法改正の発議を企てることが予想されます。もちろん、現在の国民投票法は、運動に関する規制があいまいで、資金の豊富な陣営がテレビコマーシャルなどを通して民意を動かすことができるなど大きな欠陥があり、市民連合は現行制度のままでの改憲発議に反対します。しかし、万一、与党が数を頼んで改憲発議を行った場合、市民連合は国民投票において、安倍政権の進める憲法改正に反対するための大きな運動をつくるために、立憲野党とともにさらに努力を進めていきたいと考えます。
2017年10月23日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

*2014年の前回衆院選の投票率は52.66%で戦後最低。前回と比べわずかに上昇したものの、今回の投票率53.68%は戦後2番目に低い。

posted by Lily at 10:21 | 政治と憲法
2017年10月22日

138.「知ってはいけない」知っておきたいこと(7)

今日(2017/10/22)は第48回衆議院選挙の投開票日ですが「選挙後に私たちの目の前に姿を表すのは、<自民・公明・希望・維新>による巨大な保守連合体制である可能性が極めて高い」と、『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』の著者である矢部宏治さんはおっしゃいます。私もそう思いっていますがそれはさておき。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』の要点を、ジャーナリストの田中龍作さんがわかりやすくまとめておられますので田中氏のブログ(2017年08月06日)より全文引用させていただきます。

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この国の最高法規は「日本国憲法」ではなく、国権の最高機関は国会ではない ― 日米間のタブーを告発し続けている作家・矢部宏治が、日本を支配する真相に迫った。

最高法規は米国との「密約」であり、最高機関は「日米合同委員会」である。著作を貫くのはこの2本柱だ。

2015年、安倍政権が集団的自衛権の行使を可能にする「安保法制」を強行採決した。「米国からの要請があった」といわれているが、70年以上も前から路線は敷かれていたのである。「指揮権密約」だ。吉田茂とクラーク米軍司令官が1952年7月23日、口頭で交わした。

クラーク司令官が「戦争になったら日本の軍隊(当時、警察予備隊)は米軍の指揮下に入って戦うことをはっきり了承してほしい」と吉田に申し入れた。吉田は同意した。

これに先立つこと2年。1950年に日本は海外派兵している。朝鮮戦争開戦後、海上保安庁の掃海艇は米軍の指揮下で朝鮮半島沖に出動した。うち一隻が機雷に触れて沈没、死者1名、負傷者18名を出した。

「戦力を持ち」「海外で武力行使する」。憲法9条は、誕生からわずか3〜4年で破壊されていたのである。

軍隊の指揮権をあらかじめ他国が持っているとなると、完全な属国となる。言い訳のしようもない。絶対に公表できない。日本国民の目に見えるかたちで正式に条文化することはできなかったため、日本独立後、「密約」を結んだのである。

密約は指揮権ばかりでない。米兵の治外法権を可能にする「裁判権密約」。日本のどこにでも米軍基地を置ける「基地権密約」がある。

こうした密約を担保しているのが日米合同委員会だ。米軍施設である「ニュー山王ホテル」(東京・六本木)に置かれている。

日本側の出席者は、各省庁のトップ官僚であるのに対し米側は軍人だ。ここで決まったことは国会に報告する義務もない。憲法より上位に位置することは言うまでもない。

日米合同委員会は国権の最高機関であり、同委員会の権限を握っているのは米軍なのである。日本が米軍の支配下にあることは、戦後史を見ても一目瞭然だ。政権交代があっても、ここを変えない限り、日本は変わらないのである。鳩山政権の悲劇を忘れてはならない。

本著は陰謀論ではないのが特徴だ。「誰と誰がいつ密約を結んだのか」などを具体的に示している。

日本の現状にほぼ満足している方には、本著を読まないことをお勧めする。
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われわれに必要なのは「真実を見極める目」。これに尽きると思います。

※引用データ:BLOGOS 2017/08/06 田中龍作:
『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部宏治・著
posted by Lily at 19:55 | 政治と憲法
2017年10月15日

137.「知ってはいけない」知っておきたいこと(6)

2017年10月11日の午後5時35分頃のこと。沖縄でまた米軍機が「不時着 」しました(一部報道では「墜落」):

米軍普天間飛行場所属のCH53大型輸送ヘリコプターが東村の県道70号沿いの民間地に不時着し、炎上した。最も近い住宅から200メートルしか離れていない。一歩間違ったら大惨事になっていた。事故を起こしたヘリと同型機は、2004年に宜野湾市の沖縄国際大学に墜落している。昨年12月に名護市安部で発生した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落から1年もたたない。(10/12琉球新報)

またか、です。日本における米軍機関連の事故が、これまでにいったい何件発生してきたかというと:

沖縄県の統計では、1972年の本土復帰から2016年末までに県内で発生した米軍機関連の事故は709件で、墜落事故は47件。直近では16年12月に輸送機オスプレイが名護市安部の海岸に墜落して大破、米兵2人が負傷した。(中略) 民間地では復帰前の1959年に石川市(現うるま市)の宮森小学校に戦闘機が墜落し、児童11人を含む18人が死亡、210人の重軽傷者を出した。2004年には沖縄国際大の本館建物にヘリが接触、墜落し炎上した。(10/12沖縄タイムス+プラス)

こうした状況は沖縄だけのものではありません。一例を挙げましょう。2020年からオスプレイが東京の横田基地にも配備されます。そしてこれまで沖縄で行われていたような低空飛行訓練や空中での給油訓練が、首都圏でも行われるようになりまづ。つまり、沖縄で起こっているような墜落事故か首都圏で起きても不思議ではなくなるということです。

では、もしもあなたの住んでいる土地で墜落事故が起こったらどうなるか?

まず、米軍が墜落現場の周辺に黄色いロープを張るでしょう。すると日本人はその現場に入ることができなくなります。かろうじて入ることができるのは、米軍の許可を得た日本の警察だけ。米軍の許可がなければ日本人は誰ひとり入ることができません。そして立入禁止の黄色いロープが取り払われるのは、米軍による事故処理がすっかり終わり、証拠物件がすっかり持ち去られた後なのです。これが「植民地」の姿でなくて何だというのでしょう!

ともあれ、昨日の沖縄は明日の自分。こう認識しておいてちょうど良いのだと思います。

※引用参考データ:
2017/10/12琉球新報、沖縄タイムス+プラス、
矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(2017)講談社現代新書

 
posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2017年10月08日

136.知ってはいけない」知っておきたいこと(5)

「米軍機は日本の上空でどれほど危険な飛行をしてもかまわない」。これは紛れもない「事実」だと矢部宏治さんは言うのですが、あなたはどう受け止めますか?

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「日本の空」すべてが戦後70年以上経ったいまでも、完全に米軍に支配されているということは、じつは日本の法律の条文に、はっきり書かれている「事実」です。以下は1952年、占領終結と同時に、新たに制定された日本の国内法(航空法特例法)の条文です。そこにはまさに、身もフタもない真実が書かれているのです。

航空法特例法 第3項
「前項の航空機〔=米軍機と国連軍機〕(略)については、航空法第6章の規定は(略)適用しない」

ここで重要なのは、右の条文で「適用しない」とされている「航空法第6章」とは、航空機の安全な運行について定めた法律だということです。つまり、

「離着陸する場所」
「飛行禁止区域」
「最低高度」
「制限速度」
「飛行計画の通報と承認」

など、航空機が安全に運行するための43ヵ条(第57〜99条)もの条文が、すべて米軍機には適用されないことになっているのです。

要するに、もともと米軍機は日本の上空において、どれだけ危険な飛行をしてもいい、それは合法だということなのです。この条文のもとで米軍は、1952年に占領が終わったあとも変わらず日本の上空で、なんの制約も受けずに飛ぶ権利を持ち続けました。

そして、現在に至るまで、この条文はひと文字も変更されていません。そのことだけを見ても1952年の「独立」や、1960年の「安保改定」が、いかに見せかけだけのものだったかがわかるのです。
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※引用参考データ:
矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(2017)講談社現代新書、
矢部宏治さんの2017/9/5投稿記事:知らなきゃ良かった...日本の空は「実はアメリカのもの」だった




posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2017年10月01日

135.「知ってはいけない」知っておきたいこと(4)

前回は「横田空域」についてのお話で、要は「日本の空は日本のものではなく、米軍支配のそれである」の一例でした。米軍支配の空域はほかにもあり、「岩国空域」もそうなんですね。それで、日本の空でありながら日本の自由にならないこの岩国空域を、アメリカの大統領は「わざわざ軍用機で」原爆ドームに向かった、という。これは2016年にオバマ元大統領が広島を訪問した時の話です。以下、『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(p23-25)より。

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「横田空域」と同じくこの「岩国空域」もまた、山口県、愛媛県、広島県、島根県の4県にまたがり、日本海上空から四国上空までを覆う、巨大な米軍管理空域です。

この空域内の松山空港に向かう民間機は、米軍・岩国基地の管制官の指示どおり飛ばなければなりませんし、空域のすぐ西側にある大分空港へ向かう民間機も、高度制限など大きな制約を受けています。

岩国空域に関して印象に残っているのは、2016年にオバマ大統領(当時)が広島を訪問したときのワンシーンです。アメリカ大統領による初めての「歴史的な」広島訪問に際して、オバマ大統領は中部国際空港から大統領専用機で米軍・岩国基地に移動したあと、この岩国空域を通って、海兵隊の軍用ヘリで原爆ドームへ向かったのです。

車で行けばわずか40キロ、たった1時間で行ける距離をわざわざ軍用機で、しかも4機のオスプレイに先導されるかたちで移動した。さらに同行する大統領付きの武官は「フットボール」と呼ばれる核兵器の「発射キット」を携行していました。

アメリカ大統領とは、すなわち核兵器を世界戦略の中心に据えた世界最強の米軍の最高司令官であり、彼は日本の上空を事実上自由に、自国の軍用機を引き連れて移動することができる──皮肉にも、そうした歪んだ現実世界の姿をまざまざと見せつけた、ノーベル平和賞受賞大統領の広島訪問となりました。
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※引用参考データ:
矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(2017)講談社現代新書
posted by Lily at 11:13 | 政治と憲法