2018年06月17日

172.「教育勅語」の現代語訳

「教育勅語」なるものが、1890年(明治23年)10月、明治天皇が、国民に教育の目的と理念を示す形で発布された。当時の子供たちは、意味がわかろうがわかるまいが丸暗記をさせられたという。大人の筆者が見ても、漢字が多くて何が何やらさっぱりだが、そこは現代語訳というものがある。例えば、明治神宮の公式サイトにこういうものが載っているのだ。


私は、私達の祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざして、日本の国をおはじめになったものと信じます。そして、国民は忠孝両全の道を全うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。

国民の皆さんは、子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動を慎み、全ての人々に愛の手を差し伸べ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格を磨き、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また、法律や、秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心を捧げて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません。そして、これらのことは、善良な国民としての当然の努めであるばかりでなく、また、私達の祖先が、今日まで身をもって示し残された伝統的美風を、さらにいっそう明らかにすることでもあります。

このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私達子孫の守らなければならないところであると共に、この教えは、昔も今も変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国で行っても、間違いのない道でありますから、私もまた国民の皆さんと共に、祖父の教えを胸に抱いて、立派な日本人となるように、心から念願するものであります。
(国民道徳協会訳文による)


しかしである。この現代語訳について、作家の高橋源一郎さんはTwitterでこのようにつぶやいている。


たとえば、「朕惟フ」と言うと、ふつう「私は思う」と訳す。もちろん間違っていない。でも、なんか違う。「朕」を使えるのは、天皇ただひとり。同時代で、「朕惟フ」を読んだ人は、「私は思う」とは受けとらなかったんじゃないかな。正確だけれど「正しくない」訳、そんな気がする(2:40 PM - Mar 15, 2017)。


さよか。で、当のご本人。ご自身の口語訳を提供しておられる。以下に原文通り番号付きで引かせていただく。


教育勅語@「はい、天皇です。よろしく。ぼくがふだん考えていることをいまから言うのでしっかり聞いてください。もともとこの国は、ぼくたち天皇家の祖先が作ったものなんです。知ってました? とにかく、ぼくたちの祖先は代々、みんな実に立派で素晴らしい徳の持ち主ばかりでしたね」

教育勅語A「きみたち国民は、いま、そのパーフェクトに素晴らしいぼくたち天皇家の臣下であるわけです。そこのところを忘れてはいけませんよ。その上で言いますけど、きみたち国民は、長い間、臣下としては主君に忠誠を尽くし、子どもとしては親に孝行をしてきたわけです」

教育勅語B「その点に関しては、一人の例外もなくね。その歴史こそ、この国の根本であり、素晴らしいところなんですよ。そういうわけですから、教育の原理もそこに置かなきゃなりません。きみたち天皇家の臣下である国民は、それを前提にした上で、父母を敬い、兄弟は仲良くし、夫婦は喧嘩しないこと」

教育勅語C「そして、友だちは信じ合い、何をするにも慎み深く、博愛精神を持ち、勉強し、仕事のやり方を習い、そのことによって智能をさらに上の段階に押し上げ、徳と才能をさらに立派なものにし、なにより、公共の利益と社会の為になることを第一に考えるような人間にならなくちゃなりません」

教育勅語D「もちろんのことだけれど、ぼくが制定した憲法を大切にして、法律をやぶるようなことは絶対しちゃいけません。よろしいですか。さて、その上で、いったん何かが起こったら、いや、はっきりいうと、戦争が起こったりしたら、勇気を持ち、公のために奉仕してください」

教育勅語E「というか、永遠に続くぼくたち天皇家を護るために戦争に行ってください。それが正義であり「人としての正しい道」なんです。そのことは、きみたちが、ただ単にぼくの忠実な臣下であることを証明するだけでなく、きみたちの祖先が同じように忠誠を誓っていたことを讃えることにもなるんです

教育勅語F「いままで述べたことはどれも、ぼくたち天皇家の偉大な祖先が残してくれた素晴らしい教訓であり、その子孫であるぼくも臣下であるきみたち国民も、共に守っていかなければならないことであり、あらゆる時代を通じ、世界中どこに行っても通用する、絶対に間違いの無い「真理」なんです」

教育勅語G「そういうわけで、ぼくも、きみたち天皇家の臣下である国民も、そのことを決して忘れず、みんな心を一つにして、そのことを実践していこうじゃありませんか。以上! 明治二十三年十月三十日 天皇」
posted by Lily at 10:45 | 政治と憲法
2018年06月10日

171.「終戦の詔書」(玉音放送)現代語訳

1945年8月15日正午。「玉音放送」がラジオで流された。これは、昭和天皇が「ポツダム宣言」を受諾し、太平洋戦争の無条件降伏を告げる「終戦の詔書」を朗読した音声である。この「玉音放送」のよく知られている部分を現代語でいうと

「耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して...」

である。しかし。こんな一部だけでは何を言われているのかさっぱりわからない。幸い、2017年8月14日のHUFFPOST(吉川彗慧)に全文の現代語訳が出ていた。「こういう内容だったのか」と思われる向きも多かろう。こちらである。


■「終戦の詔書」(現代語訳)

私は、世界の情勢と日本の現状を深く考え、緊急の方法でこの事態を収拾しようとし、忠実なるあなた方臣民に告げる。

私は政府に対し、「アメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に、共同宣言(ポツダム宣言)を受け入れる旨を伝えよ」と指示した。

そもそも日本臣民が平穏に暮らし、世界が栄え、その喜びを共有することは、歴代天皇の遺した教えで、私も常にその考えを持ち続けてきた。アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定平和を願うからであり、他国の主権を排して、領土を侵すようなことは、もとより私の意志ではない。だが、戦争はすでに4年も続き、我が陸海軍の将兵は勇敢に戦い、多くの役人たちも職務に励み、一億臣民も努力し、それぞれが最善を尽くしたが、戦局は必ずしも好転せず、世界情勢もまた日本に不利である。それだけでなく、敵は新たに残虐な爆弾を使用して、罪のない人々を殺傷し、その惨害が及ぶ範囲は測り知れない。なおも戦争を続ければ、我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破壊してしまうだろう。そのようなことになれば、私はどうして我が子のような臣民を守り、歴代天皇の霊に謝罪できようか。これが、共同宣言に応じるよう政府に指示した理由だ。

私は、アジアの解放のため日本に協力した友好諸国に対し、遺憾の意を表明せざるをえない。日本臣民も、戦死したり、職場で殉職したり、不幸な運命で命を落とした人、またその遺族のことを考えると、悲しみで身も心も引き裂かれる思いだ。また、戦争で傷を負い、戦禍を被り、家や仕事を失った者の生活も、とても心を痛めている。これから日本はとてつもない苦難を受けるだろう。臣民みなの気持ちも、私はよくわかっている。けれども私は、時の運命に導かれるまま、耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して、未来のために平和を実現するため、道を開いていきたい。

私はここに国体を護ることができ、忠実な臣民の真心に信じ、常に臣民とともにある。もし、感情のままに争いごとや問題を起こしたり、仲間同士が互いを陥れたり、時局を混乱させたりして、道を誤り、世界の信用を失うようなことになれば、それは私が最も戒めたいことだ。国を挙げて家族のように一致団結し、この国を子孫に受け継ぎ、神国(日本)の不滅を固く信じ、国の再生と繁栄の責任は重く、その道のりは遠いことを心に留め、持てる総ての力を将来の建設に傾け、道義心を大切にし、志を固く守り、国の真価を発揮し、世界の流れから遅れないよう努力しなければならない。あなた方臣民は、これが私の意志だとよく理解して行動してほしい。

posted by Lily at 00:00 | 政治と憲法
2018年06月03日

170.降伏文書に何が書かれていたのか

東京湾に停泊したミズーリ号の上で、降伏文書への署名がなされたのは1945年9月2日のことである。これにより、日本の無条件降伏が確定した。日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を認めたのである。その降伏文書がどのような内容ものだったのか、その具体的な内容を知る人は多くはないと思われる。そこで以下に『世界史の窓』(https://www.y-history.net/appendix/wh1505-121.html)から引用する。

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降伏文書(読みやすくひらがな混じり文とし、一部省略した)

• アメリカ・中華民国・イギリス三国の首班が1945年7月26日「ポツダム」に於て発し、後にソ連が参加した宣言の条項を、日本国天皇、日本国政府及び日本帝国大本営の命に依り、かつこれに代わり受諾する。四国は以下、連合国と称す。

• 日本帝国大本営並びに何れの位置に在あるを問はず、一切の日本国軍隊及日本国の支配下に在る一切の軍隊の連合国に対する無条件降伏を布告する。

• 何れの位置に在るを問はず、一切の日本国軍隊及び日本国臣民に対し敵対行為を直ちに終止すること、・・・を命じる。

• 日本帝国大本営が何れの位置に在るを問はず、一切の日本国軍隊及び日本国の支配下に在る一切の軍隊の指揮官に対し、・・・無条件に降伏すべき旨の命令を直に発することを命じる。

• 一切の官庁、陸軍及海軍の職員に対し、連合国最高司令官が本降伏実施の為適当なりと認めて・・・発せしむる一切の布告、命令及び指示を遵守し、且これを施行することを命じる。・・・

• 「ポツダム」宣言の条項を誠実に履行すること、並に右宣言を実施するため連合国最高司令官又は其の他特定の聯合国代表者が要求すること・・・かつ一切の措置を執ることを天皇、日本国政府及びその後継者の為に約束する。

• 日本帝国政府及び日本帝国大本営に対し、現に日本国の支配下に在る一切の連合国俘虜及び被抑留者を直ちに解放すること・・・を命じる。

• 天皇及び日本国政府の国家統治の権限は、本降伏条項を実施するため、適当と認むる措置を執る連合国最高司令官の制限の下に置かれれるものとする。
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筆者は思う。降伏文書を知らずして 戦後を知ることはできない。と。

posted by Lily at 10:37 | 政治と憲法

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